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体外診断用医薬品原料用オリゴに求められる品質とは?

第2回 体外診断用医薬品の法規制

今回は、体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の法規制という観点から原料用オリゴヌクレオチドの管理について述べてみたいと思います。体外診断用医薬品原料としてのオリゴヌクレオチドは、製品の性能(検出感度、検出対象の特異性など)に大きな影響を及ぼすキーコンポーネントですので厳密な製造管理・品質管理が必要となる訳ですが、どのようなルールに則って管理すればよいのでしょうか。

まずは、体外診断用医薬品の法規制について確認してみましょう。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の資料によると、体外診断用医薬品の製造販売は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)で規制されており、規制当局(厚生労働省及び各都道府県)の許可・登録・承認を得ないと行うことができません。体外診断用医薬品を製造・販売するためには大きく3点について規制当局の審査を受ける必要があるとのことです。

  1. ① 企業としての責任体制の審査:製造販売業の許可取得(都道府県知事)
  2. ② 製品の有効性・安全性等の審査:製造販売の承認(厚生労働大臣)
  3. ③ 製品の生産方法・管理体制の審査:製造業者の登録(都道府県知事)、QMS適合性調査(PMDAなど)

体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理について注目すべきなのが、③製品の生産方法・管理体制の審査のQMS適合性調査です。これは、製造販売業者や製造業者がQMS(Quality Management System)に適合し、適正な品質の製品を製造する仕組みになっているかどうかについての実地および書面による調査です。この調査におけるQMS適合の基準となるのが「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令(「改正QMS省令」、令和3年厚生労働省令第60号)であり、体外診断用医薬品の製造販売業者や製造業者に対して、管理監督・設計管理・製品文書化・製造・是正措置及び予防措置、購買管理、文書記録などの管理を要求しています。

製造販売業者や製造業者は、製品を製造するにあたり原料を入手しなければなりません。その際に遵守しなければいけないのが「購買管理」となります。改正QMS省令において、購買管理の条項は、第37条 購買工程、第38条 購買情報、第39条 購買物品等の検証、第84条 製造販売業者等による管理、となっています。

購買管理では、製造販売業者や製造業者は供給者の評価・選定・監視・再評価を実施することが要求されています。また、購買情報に、購買物品等の供給者の手順・工程・設備・器具に関する要求事項、供給者の構成員の適格性の確認に関する要求事項、供給者の品質管理監督システムに関する要求事項を含めることが必要とされています。

さて、体外診断用医薬品としての遺伝子検査・診断薬の原料となるオリゴヌクレオチドを購入することを想定してみましょう。体外診断用医薬品原料としてのオリゴヌクレオチドは、製品の性能(検出感度、検出対象の特異性など)に大きな影響を及ぼすキーコンポーネントです。したがって、製造販売業者や製造業者は、原料のオリゴヌクレオチドに対して厳密な購買管理を実施することが必須となり、そのような管理を実現するためには自らと同レベルの製造管理・品質管理を実施しているオリゴヌクレオチド供給者を選定することが最良の手段となります。

オリゴヌクレオチド供給者は、体外診断用医薬品の製造販売業者や製造業者ではないのでQMS適合性調査を受けられません。「しっかり製造管理・品質管理して、QMSに適合しています!」と主張しても証明する術がありません。

ご存じの方もおられると思いますが、旧QMS省令はある国際規格との整合性を図るために改正され、改正QMS省令となりました。その規格とは「ISO13485:2016 医療機器における品質マネジメントシステムの国際規格」です。ISO13485:2016の認証を取得することによって、オリゴヌクレオチド供給者でも適切なQMSを運用していることを証明できると弊社では考えております。

実際のところ、弊社では「体外診断用医薬品原料オリゴヌクレオチドを提供するためにはISO13485認証取得が必要である」との信念に従い、2008年からISO13485:2003の取得に向けて活動を開始して、2009年12月にISO13485:2003の認証を取得しました。さらに2018年にISO13485:2016に移行して現在まで認証を継続しております。体外診断用医薬品の製造販売業者様や製造業者様と共通の法規制を意識しながら同レベルの製造管理・品質管理を目指してISO13485:2016を運用しております。

次回は、弊社におけるISO13485:2016の運用について紹介させていただきます。

<第3回へ続く>

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